家庭教師派遣業
1.問題となった条項
(1)クーリングオフの返金条項
事業者は、会員登録書において、クーリングオフがなされた場合でも、入会金は返金しない旨の条項を使用していました。
そこで、2014年(平成26年)10月10日、当団体は、事業者に対し、当該条項の改訂を求めました。結論として、当該条項は削除されました。
(2)中途解約の精算金
事業者は、消費者との間で、学習塾、家庭教師の役務を提供する際に使用している「概要書面」において、記役務提供開始前における中途解約に際し、2万円のほかに消費税を支払わなければならないという条項を使用しています。この条項は、特定商取引に関する法律第49条2項2号で定める金額(2万円)を超える金銭の支払いを求めるものであり、法律の規定に抵触します。
そこで、当団体は、事業者に対し、2020年(令和2年)12月21日、当該条項の削除・修正等を求めました。
2.成果・経過等
(1)クーリングオフの返金条項
2015年(平成27年)5月1日、事業者より、「現在指摘された契約条項は使用していない。また、利用者との契約が特定継続的役務提供に該当することは認識しており、ク−リングオフによる解約の場合に金員を返還しない旨の対応をなすことはない」との回答がなされた。その後正式な回答書を提出してもらいたい旨の書面を送付したが回答がなく、2019年(令和元年)10月18日、2020年(令和2年)3月18日、再度依頼するも何ら解答がありませんでした。2020年(令和2年)5月28日に、当団体より、正式な回答書を6月4日(木)まで提出してもらえない場合には、特定商取引法第41条に基づく事前請求に進む可能性がある旨を電話で伝えました。
2020年(令和2年)6月1日、事業者より、消費者に渡す役務の申込書(会員登録書)兼役務の提供(学習サポート)用紙が届きました。また、2020年(令和2年)6月3日には、役務提供契約に関する概要書面が届きました。以上の書類には、当団体が指摘した条項は存在しませんでした。
(2)中途解約の精算金
2020年(令和2年)12月21日に申入書を送付しましたが、事業者から一切回答がなされませんでした。
2021年(令和3年)12月14日、事業者に対し、消費者契約法第第41条に基づく事前請求をしました。
その後も事業者から何らの回答がなされなかったため、2023年(令和5年)4月20日、大分地方裁判所に提訴しました。
2023年(令和5年)6月29日、当団体の主張を全面的に認める判決が出ました(事業者は欠席)。同年7月19日に判決が確定しました。
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