写真スタジオの無料情報誌に掲載した広告の誤認表示について申し入れをした事例
1.問題となる広告表示
事業者は、「●月の特典」(●には発行月が入る。)として、
- ①六切写真1枚プレゼント(全プラン対象)
- ②衣裳1着追加プレゼント
- ③和洋装セットは、土日祝日のUP料金通常11,000円が無料
- ④16.5万円以上のアルバムを購入された方には撮影全データをプレゼント
- ⑤今だけ和洋装セットの方限定チャペル撮影プレゼント
との広告を掲載していました。
しかし、①〜⑤の特典は、1ヶ月限りのものではなく、当団体が確認しているだけでも、2021年(令和3年)6月号から2022年(令和4年)6月号までの1年間にわたり、①〜④は全く同じ内容の特典が掲載され続けていました。
2.問題点
景表法5条2号は、以下のとおり規定して、有利誤認表示を禁止しています。
「商品又は役務の価格・・・について、実際のもの・・・よりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」
本件広告当該記載を見た一般消費者は、例えば、「6月の特典」と記載されていれば、「6月1日〜6月30日までの間に実施される特典である。」と認識し、全く同じ内容の特典が、その後約1年間もの間、実施され続けるであろうとは考えないものと思われます。
すなわち、本件広告表示は、商品又は役務の価格について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあるものといえます。
以上より、本件広告表示は、景表法5条2号(有利誤認表示)に該当するものと考えられることから、2022年(令和4年)11月25日、事業者に対して「質問書」を送付しました。
3.成果・経過等
2022年(令和4年)12月14日、事業者代理人弁護士より、広告は掲載中止していることと、今後、広告を掲載する際には改訂する予定との連絡が入りました。
2023年(令和5年)1月26日、事業者代理人弁護士に対して、改定後の広告の書面送付を求めました。その後、情報誌に広告の掲載がないことから、同年9月8日に事業者代理人弁護士に今後の広告掲載の有無、掲載予定時期、情報誌以外の広告掲載の有無、掲載された広告書面の送付を依頼しました。そうしたところ、同年10月5日、事業者代理人弁護士より「情報誌には今後掲載の予定はない。情報誌以外の広告掲載はない。」との回答がありました。そこで、2024年(令和6年)1月26日に「協議終了のご連絡」を送付しました。 |