ペットショップの「確認証」について事業者の不法行為により生じた責任を免除する内容について質問書を送付した事例
1.問題となる条項
本件確認証の「ご確認事項1項」には以下の条項があります。
- ①「ストレス等による体調不良、不可抗力によるケガ(ヘルニアやバリカン負け)につきましては責任を負いかねますのでご了承ください。」
- ②「後日のキズやケガに関する申し出はお受けできない場合がございますのでご了承ください。」
- ③「当店の過失による事故(死亡・逃走等)が発生した場合、5万円を限度として補償いたします。それを超える支払は理由の如何を問わず一切応じかねますのでご了承ください。」
2.問題点
上記①は、ストレス等による体調不良が事業者の債務不履行責任及び不法行為責任に基づいて発生した場合にも、事業者の責任を全て免除するものであり、消費者契約法8条1項1号・3号に抵触すると考えられます。また、上記①のうち、ヘルニアやバリカン負けといった自体は、全て不可抗力によるとまで断定することはできません。例えば、事業者のトリミング中に施術ミス等でヘルニアやバリカン負けが生じることも考えられます。そうすると、ヘルニアやバリカン負けについて、その全てを不可抗力とすることは、ヘルニアやバリカン負けが事業者の債務不履行責任及び不法行為責任に基づいて発生した場合にも、事業者の責任を全て免除するものであって、消費者契約法8条1項1号・3号に抵触するものと考えられます。
上記②は、どのような場合に申出を受けることができないのかが規定されていないため、消費者にとって不明確かつ難解な条項となっています。
上記③は、事業者の債務不履行責任・不法行為責任が故意または重大な過失に基づく場合を除外していません。したがって、事業者の債務不履行責任・不法行為責任が故意または重大な過失に基づく場合であっても、5万円を超える部分は責任を免除するものであって、消費者契約法8条1項2号・4号に抵触するものと考えられます。
そこで、2023年6月16日、事業者に対して、質問書を送付しました。
3.成果・経過等
2023年(令和5年)6月2日付、7月3日付で「回答書」が届き、申入れに添った内容に改訂、対応がされていることから、2023年(令和5年)9月8日に「協議終了のご連絡」を送付しました。
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