当団体と株式会社野田建工(合併前の被告:株式会社エヌケージー)との裁判上の和解について
令和7年11月3日
消費者契約法第27条の規定に基づき、以下の事項を周知致します。
第1 事案の概要
株式会社エヌケージー(以下「エヌケージー」といいます。)は、屋根瓦ふき替え工事、外壁塗装工事等(以下「本件役務」という。)を提供する事業を行う法人です。
エヌケージーは、消費者宅を訪問して勧誘を行い、本件役務提供契約を締結していました。しかし、エヌケージーは、顧客に対して、顧客が署名・押印をした契約書等をエヌケージーの店舗に郵送させる等していました。そして、エヌケージーは、「契約書等が店舗に到達した時点で本件役務提供契約の申込みがなされたから、特定商取引に関する法律(以下「特商法」といいます。)の訪問販売に当たらず、クーリングオフをすることはできない。」等と主張して顧客のクーリングオフを認めていませんでした。
そこで、当団体は、令和5年9月6日、大分地方裁判所に対し、差止請求訴訟を提起しました(以下「本件裁判」といいます。)。本件裁判において原告が求めたものは、主に以下の2点です。
@ 被告は、被告との間で特商法の訪問販売に該当する契約を締結しまたは締結しようとする者に対し、当該契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、当該契約について、特定商取引に関する法律第9条(クーリングオフ)の適用がない旨を告げてはならないこと。
A 被告は、被告との間で特商法の訪問販売にかかる契約を締結するに際して、同法第4条または第5条に基づき消費者に交付する書面(申込書面・契約書面)に、同法第9条第1項の規定によるクーリングオフに関する事項を記載すること。
なお、エヌケージーは、提訴後、株式会社野田建工(以下「野田建工」といいます。)を吸収合併存続会社、エヌケージーを吸収合併消滅会社とする吸収合併を行い消滅しています。そこで、以下では、合併前のエヌケージーを含めて、「野田建工」と表記することとします。
第2 本件裁判の経過について
野田建工は、裁判においても、特商法上の訪問販売に該当しないと主張していました。
これに対して、当団体は、主に以下の主張立証を行いました。
まず、消費者庁が野田建工に対して、令和5年9月22日、令和5年9月22日から令和6年12月21日まで間、業務の一部(勧誘、申込受付及び契約締結)を停止するよう命じていることです(以下「本件業務停止命令」といいます。)。本件業務停止命令は、野田建工の業務が特商法の訪問販売に該当することを前提として出されていますので、その旨を主張し、証拠を提出しました。また、野田建工が国を被告として、東京地方裁判所に対して本件業務停止命令の取消訴訟を提起していたことから、判決文等の訴訟記録を入手し、本件裁判の証拠として提出しました。
次に、裁判所に対して調査嘱託を申し立て、大分県内の消費生活センター及び国民生活センターに寄せられた野田建工の相談事例等を入手しました。そして、個々の事例において、野田建工が消費者宅を訪問して勧誘を行い、本県役務提供契約を締結していること、契約書等の郵送は特商法の訪問販売の適用を回避するための便法に過ぎないことを主張立証しました。
野田建工は、当団体の上記主張を争っていましたが、令和7年9月8日、添付の和解調書記載のとおり、和解が成立しました。和解の内容については、当団体の主張をほぼ取り入れる形での和解となっています。
第3 最後に
以上のとおり、野田建工との間で和解が成立しましたので、ご報告致します。本件裁判に関し、ご不明点等ございましたら、当団体までご連絡ください。
【参考条文】消費者契約法第27条
適格消費者団体は、消費者の被害の防止及び救済に資するため、消費者に対し、差止請求に係る判決(確定判決と同一の効力を有するもの及び仮処分命令の申立てについての決定を含む。)又は裁判外の和解の内容その他必要な情報を提供するよう努めなければならない。
以上
添付資料
和解調書(4枚)【PDF:17.5KB】
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